Cloudflare、型付き値を1パスで抽出する「Clairic」をWorkers AIでプレビュー公開
CloudflareWorkers AIClairic構造化抽出API料金
Cloudflareが、テキストから型付きの値だけを取り出す新クラスのモデル「Clairic」をWorkers AIでプレビュー公開した。出力トークンを生成しないため課金は入力のみ(100万トークン0.10ドル)。請求書の金額や納期の抽出といった定型処理をLLMから置き換える用途を狙う。
何が発表されたか
- Cloudflareが「System One」系の新クラス「抽出モデル(extraction model)」の第1弾として
@cf/cloudflare/clairicをWorkers AIでプレビュー公開 - System One系は推論トークンも出力トークンも生成せず1パスで答えを返す設計。既存の判断モデル(Jev、Clef)が「事前に定義した選択肢から選ぶ」のに対し、Clairicは定義したフィールドの型付きの値そのものを返す
- 返せるもの:文字オフセット付きのテキストスパン、計算済みの数値・日付・時刻・期間・リスト、宣言した範囲内の分布としての推定値(中央値と80%区間)、系列の将来予測(各ステップの80%区間)、入力に答えがない場合の
null - スカラー値には
p_null(答えが存在しない確率)とconfidenceが付く - 料金は入力100万トークンあたり0.10ドルで出力課金なし
- 呼び出しはWorkersバインディング
env.AI.run("@cf/cloudflare/clairic", { model: "clairic", state, fields })、またはREST/ai/run。AI Gateway経由も可 - 自社検証では、請求処理パイプラインでエンドツーエンド19.3秒(全LLM構成は61.7秒、約3.2倍高速)、コスト49%減。TSAの日次搭乗者数予測では21日平均で誤差3.3%、21件中17件が80%区間内
- オープンウェイト公開を「近日」予定
開発者への影響
「LLMに投げていたが本当は構造化された値が欲しかった」処理の置き場所ができた。Web制作・EC実務で思い当たるのは、問い合わせフォーム本文から希望納期と予算を抜く処理、PDF見積書の金額抽出、商品説明テキストからサイズ・素材・容量を取り出して属性に流す処理、レビュー本文からの評価軸抽出。いずれも従来はJSONモードのLLMで組んでいたが、出力課金なしで null と信頼度まで返るのは実装が素直になる。
特に効くのが p_null と confidence。LLMのJSON出力は「わからない」を素直に返さず、もっともらしい値を埋めてくることが実務上の最大の事故要因だった。「抽出できなかった」を構造として受け取れるなら、人の確認に回すキューの設計が組める。
注意点は、自社ブログでも多段の算術と長期の予測が弱いと明記されていること。金額の合算や按分をモデル側に任せる設計は避け、値の抽出はClairic、計算はコードに分けるのが安全。
利用条件
プレビュー提供。Workers AI上のホスト型で、オープンウェイトは未公開。
