
Microsoft、第3四半期のメール脅威レポート公開 フィッシング73億件
MicrosoftフィッシングメールセキュリティTeams脅威レポート
MicrosoftがQ3(7〜9月)のメール脅威動向を公開した。フィッシング約73億件を検知し、9月単月では約30億件で8月比41%増。攻撃の94〜96%はマルウェア設置ではなく認証情報の窃取が目的で、設定の過度な例外が検知をすり抜ける要因になっているとしている。
何が発表されたか
Microsoft Threat Intelligence と Microsoft Defender Security Research Team は2026年11月5日、2026年第3四半期(7〜9月)のメール脅威動向レポートを公開した。主な数値は以下の通り。
- 全体: メール経由のフィッシング脅威を約73億件検知。9月単月で約30億件に達し、8月比41%増
- QRコードフィッシング: 約1,210万件で、Q2比67%減・3月のピーク比86%減。運び手として最も多かったのはPDF。一方、メール埋め込み型のQRコードは四半期末までに3倍以上に増加
- CAPTCHA型: 9月に310万件まで回復し、7月の底から約2倍。SVG添付が増加を牽引し、8月には該当攻撃の65%を占めた
- 正規サービスドメインの悪用: 実在するサービス送信元ドメインを使った不正メッセージが約1億2,900万件。9月はDocuSignが29%を占め、同月に結果が記録されたメッセージの**63%**でテナント単位またはユーザー単位のセキュリティ上書き(例外設定)が適用されていた
- ペイロード: ペイロード型攻撃の約**94〜96%**はマルウェア設置ではなく認証情報の窃取が目的。SVGペイロードは8月に1,010万件でピーク
- Teams: 約14万1,000件の不正通話試行。表示名に個人名を使う比率は7月の46%から9月は88%へ上昇し、明示的なヘルプデスク名義は17%から2%へ低下
具体的なキャンペーンとして、8月19日の給与改定を装ったWord文書+QRコード経由のデバイスコードフィッシング(米国の法律分野中心に4,800以上の組織・1万人超が標的)、9月21日のスペイン語の発注書・給与関連メールによるAgent Tesla配布(8,100以上の組織・5万6,000人超に到達)が挙げられている。
AIに関する言及は防御側のもので、Teams に会話の文脈を使うAIフィッシング検知が追加される点と、Security Copilot のエージェントが防御側で利用できる点が示されている。
取るべき対応
影響を受けるのは Microsoft 365/Exchange Online でメールを運用しているすべての組織で、とくに過去にスパム判定の例外設定を広く入れた環境は優先度が高い。
- まず確認: 広すぎるセキュリティ例外を棚卸しする。認証に失敗したメッセージを通してしまう原因になっている(9月の該当メッセージの63%で上書きが適用されていた)
- 設定: Defender for Office 365 で Zero-hour auto purge、Safe Links、Safe Attachments を有効化し、Exchange Online Protection の推奨設定を確認する
- 認証: パスワードレス認証とフィッシング耐性のあるMFAへ移行する。とくに特権アカウントを優先し、デバイスコードフィッシングとトークン窃取の影響を抑える
- Teams: 外部からの連絡を必要な相手に限定し、新規の外部連絡先からの想定外の依頼は別経路で確認する
- 端末・ブラウザ: Defender for Endpoint のネットワーク保護を有効化し、SmartScreen が使えるブラウザを利用する
- その他: Defender XDR の自動攻撃中断を設定し、Teams のシナリオを含むフィッシング訓練を実施。公開されたハンティングクエリとIOCで上記2件のキャンペーンの痕跡を自環境で確認する
