津南醸造、生成AIで食用米の純米大吟醸を開発と講演
製造業RAG日本酒事例新潟
新潟の津南醸造が、第78回日本生物工学会大会のシンポジウムで「生成AIを活用した食用米ブランド日本酒の開発」を講演した。論文・製造日誌・蔵固有の環境情報という三層の知識を参照するカスタム生成AIで発酵カーブと温度設計を最適化し、酒造好適米ではない魚沼産コシヒカリで国際的な受賞酒を実現している。
何が発表されたか
- 発表は2026年10月3日。講演は2026年9月16日、北海道大学で開催された第78回日本生物工学会大会の本部企画シンポジウムで、代表取締役社長の鈴木健吾氏が登壇した。
- 津南醸造は2023年12月から「スマート醸造」を運用。カスタマイズした生成AIが、学術層(論文・教科書)、企業層(製造日誌・分析データ)、コンテキスト層(蔵固有の環境情報)の三層知識を参照する。
- 発酵カーブの最適化では、一般的な手法で糖化不足(日本酒度−8.9)に陥る食用米の仕込みに対し、AIの提案で理想的な発酵曲線(日本酒度±0)を実現した。
- 温度設計では最高11℃の低温長期型発酵を提案し、タンパク質・脂質由来の雑味を抑制。実測値が予測範囲内に収まることを確認している。
- 味わいは日本酒度・酸度・アミノ酸度などで数値化し、料理との相性や飲み頃温度を提案。シンガポール企業の官能評価システムと組み合わせて可視化した。
- 成果物「郷(GO)GRANDCLASS 魚沼コシヒカリEdition」はKURA MASTER 2024金賞、ミラノ酒チャレンジ2025プラチナ賞を受賞。
実務への影響
- 三層構造の知識設計(公開知識/自社の実測データ/現場固有の文脈)は、RAGを組む際の整理軸としてそのまま使える。多くの案件では企業層とコンテキスト層が混在して精度が出ないため、分離して管理する発想が参考になる。
- 「AIの提案値と実測値を突き合わせて検証する」運用が明示されている点が重要。生成AIを製造プロセスに入れる提案では、予測範囲と実測の照合ログを成果指標に据えると説得力が出る。
- 地場の中小メーカーがAI活用を国際的な受賞という外形的な成果に結びつけた事例として、地方クライアントへの提案時の参照先になる。
